誰かの期待に応えようとした結果、自分を見失ってしまう。
世の中の多くの人は、何でもできることを正義とする幻想を抱いているのかもしれない。
周囲の期待に応えようとするほど、本当に大切なものに割く時間が減っていく。
当初に抱いていた気持ちを見失い、迷子のようになる。
大切なものを見失い、目指す先がわからなくなった時、そこに「やらない」という選択肢がある。
私自身の経験を振り返っても、やるべきことが整理されるのは、できることが増えたときではなかった。
「やらない」ことを決めたときである。
ある新規プロジェクトでは予算も多く、こちらの提案もほとんど通りそうだった。
しかし、それを請けてしまうと既存のクライアントに迷惑がかかってしまう。
その時は苦渋の決断だったが、コアな部分だけに絞って、それを責任を持って任せてもらうことにした。
そんな「やらない」を決めた瞬間、目の前がひらける。
後ろや横を気にせずに前だけを見ることができた。
優柔不断だった心が定まり、覚悟が生まれた。
やるべきことはシンプルになり、周囲に期待に振り回されず、自分の選択に自信が持てるようになった。
世の中の多くのサービスは機能を増やすことに尽力している。
しかしそのものの本質的な魅力は、機能を削った時にこそ際立ってくる。
削った結果、残ったものが「そのものらしさ」であり「その人らしさ」。
実はなんでもやることは、個性を埋まらせてしまう。
個性とは、選択の積み重ねだ。その選択の偏りこそが、その人やサービスの輪郭をつくる。
多様な価値観が生まれていくこの現代で、記憶に残るのは偏っているものだ。
当然ながら、出来ることを増やすことで、未来の選択肢を拡大させた事例は数多くある。
できることを増やさないのは怠慢だと受け取られることもあるだろう。
記事を執筆している私だって、チャンスを失うのはもちろん怖い。
「やらない」を決めることは、ターゲットを絞り込む覚悟がいるからだ。
ということは、「やらない」を決めることは、怠慢なんかではない。
あなたの本質を浮かび上がらせるための高度な戦略の一つといえる。
「やらない」からこそ、その瞬間にかける熱量と密度を上げることができる。
その熱量と密度が本来の魅力を増大させることに繋がってゆく。
あなたは、どのような戦略で魅力を発揮していますか?
もしもこの先を迷っているなら、まずは「やらない」選択肢を考えてみませんか。
残ったものこそが、あなたの本質ではないでしょうか。